私は翻訳者なので滅多に他の人が翻訳したものを見るチャンスはないのですが、今回、おもしろいお仕事をいただきました。別の方があるウェブサイトのローカリゼーション用に日本語にしたものを、今回サイトを新しくするので、古い内容が新しいサイトにきちんと移動されているかを確認してほしいというものでした。
でも、私はその指示を誤解し、日本語訳にあまりにもおかしなところがあるので英文と照らし合わせ、細かくチェックし始めました。その中に出て来たトンデモ誤訳を一つご紹介します。
例:彼は16のチームをコーチしました。
大体ですよ、こう訳した時点で、16ものチームをコーチするということがまず物理的に不可能だと思わなかったのでしょうか。。。1日1チームコーチして、毎週試合にも同行するんですよ。
まぁ、そこまで考えが及ばなかったとしましょう。問題箇所の英語は「彼はunder-16のチームをコーチした」です。細かく見れば、 'team'は単数であり、 'teams'と複数で書いてなかったのでここだけでも普通は「コーチをしたチームは1つである」ということが分かります。
で、問題の 'under-16'です。これは、英語圏に住む子持ちの親であればだれでも分かる表現で、「16歳未満」、つまり「15歳以下」ということです。スポーツチームの年齢区分なのであります。
英語と日本語の数字の表現の違いは時に面倒なこともあります。
私は日英がメインなので、「10以上」とあれば '10 or more'とし、「10以下」であれば '10 or less'とします。温度であれば '10 degrees or higher'、距離であれば '10km or shorter'と後ろの形容詞が変化します。
逆に英日ですと、 'more than 10'は「10より多い」、 'more than 10 children'だと「11人以上」となります。 'more than 10'は「10以上」ではありません。ある場所にいた人が 'more than 1000'だとしたら、「1000人以上」ではなく、正確には「1001人以上」ですが、「1000人を超える人」とします。
ですので、under-16にも、逆のover-16にも16歳は含まれないことになります。
こういうのは翻訳の基本中の基本なので、ほとんどの本に出て来ますし、翻訳のトレーニングなどしたことのない私でも何度も目にしたことがある内容です。
数字は面倒ですね。。。金融関係の翻訳ですと、日本円は桁が大きいのでいつも右から「イチ、ジュウ、ヒャク、セン。。。」とやってます。