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そのまま英語にしたらおかしい日本語

今日は、日本語のメニューではよく使われるのにそのまま英語にするとおかしな表現を3つ挙げたいと思います。

一つ目は「口いっぱいに広がる」。

主語は、イチゴやゆず、磯、香辛料、コーヒーなどの「香り」か、甘味や旨味などの「味」であることが多いのですが、

これをそのまま "will spread in your mouth" とするのはNGなのです。

なぜダメなのかしばらく分からなかったのですが、夫に聞いたところ、やはりNGと言われ、理由は「ハムスターのように口の中がその食材で一杯になり、吐きそうになるイメージがあるから」だそうです。

なるほど、インターネットで "will spread in your mouth" または "spreads in your mouth" で検索すると、日本食レストランか日本のレストランでの使用例がほとんど。

weblioで例文を検索すると出て来るのは特許庁の例文のみでした。

英語圏では確かに見たことはないですね。"melt in your mouth" ならOKのようです。

次は「大人向け」や「大人の味」。

デザートなどに多いのですが、これはホント、困ります。

日本語の場合、「大人」と書いた時と「アダルト」と書いた時で印象が違うじゃないですか?

でも、英語では "adult"で、日本語の「アダルト」同様、性的なイメージなのです。

「アダルトコンテンツ」という時の「アダルト」ですから、当然、デザートと結び付けるのはおかしいということになります。

日本では大人は甘い物を好まないというのが一般的な考えですが、英語圏では大人も子供も甘い物が大好きです。

「お酒が入っているので」とか、なぜそれが「大人向け」なのか理由が必要なのです。

3つ目は、「焼酎が苦手な女性にも」。

なぜお酒が苦手なのは常に女性なのでしょう?

そして、そのお酒は男性が注文したらおかしいのでしょうか?

物を売りたいのになぜその対象を限定するのか、確かに英語圏の人から見たら「これじゃ、宣伝にならないじゃない?」となるワケです。

いずれにせよ、日本のメニューの書き方と英語のメニューの書き方はかなり違うので、翻訳をする時にかなり戸惑います。

でも、特に英語に関しては依頼する側も結構自信があるようで、「文句の一つでも言ってやろう」という感じでなかなか理解してもらえないんですよね。

「英語圏では使わない」と説明しても訳抜けだとか誤訳だとか言われます。

最終的にはお客様の好みのものに直して納品せざるを得ないので、いつまで経ってもおかしな英語がなくならないという結果になってしまっています。

翻訳者はここまでがんばって仕事しているんですけどね。。。