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帰国子女入試

先日、Yちゃんが留学生担当の先生からあともう1年いて帰国子女として日本の大学に入学できるという話をされ、何となくその気になったようで電話でそのことについて聞いてきました。

果たして、帰国子女入試というのはそんなに簡単なものなのでしょうか?

まず、日本の大学の帰国子女入試の出願資格ですが、例えば私の母校の獨協大学は国際教養学部言語文化学科以外の学部には「保護者の海外在住に伴い、外国においてその国の教育課程に基づく高等学校に2年以上継続して在籍した者」とあり、Yちゃんのように単独で留学した人は対象外となってしまいます。つまり、Yちゃんは単独で留学した人も認めてくれる大学に選択範囲がしぼられてしまうことになります。

また、今年の場合は「原則として、高等学校または中等教育学校を卒業後2年以内の者、または、2011年3月31日までに卒業見込みの者で、帰国後2年以内の者」という条件で、毎年この日付が変わるだけなのですが、「帰国後2年以内」、つまり、その年に受からなかったら次の年は一般受験になるということです。国語や日本史などでかなり苦労することになり、日本の高校生と勝負することになるのでかなり難しくなります。

そして、募集人数です。どの大学も「若干名」となっています。全世界に帰国子女入試の対象になる日本人がどのぐらいいるかですが、昔、私がセカンダリースクール教師だった頃(5年以上前です)オーストラリアとニュージーランドだけでも600人以上だったと思います。中には有名大学に入った人もいますよ。でも、そのような例は何千人も受け入れて来たうちの数パーセントです。人気のある大学の倍率は普通の受験の何十倍にもなることもあります。

Yちゃんの場合、留学を始めたのが1学期の終わりでしたので、正確には今年は1年とは数えられません。なので、日本でもニュージーランドでも最低あと2年ということになります。

で、最終的に大学進学をしなかったらどうなるでしょう?残念ながら、現在の日本のシステムでは海外の高卒は高卒と認められないので、中卒になります。年間200万円もかけて留学して中卒でもいいのか、ですね。

日本に帰って高校に通えば推薦入学のチャンスだってあるかも知れません。選べる大学の幅も大きくなります。大学進学をしなくても高卒になります。費用もそれほどかからないので、あとからまた1年留学するチャンスも出てくるでしょう。

Yちゃんは今年日本に帰れば、他の生徒よりは英語もできるでしょう。英検だって受けて大学に入れば大学で留学するチャンスもあるでしょう。ニュージーランドの大学に入るのだって、日本の高校を卒業してIELTSを受けて入ったほうが、こちらでまともにNCEAを受けて入るよりずっと費用も安くなりますし、時間も短縮されると思います。まともにNCEAを取ろうと思ったら、あと2年では無理でしょうね。4年もかかってから大学に入って楽しいか、それも考えなければなりません。

Yちゃんの先生は日本の大学はたくさんあるから簡単に入れると思っているようで、説明したら驚いていました。学校にとってはお金になるから勧めたのだとは思いますが、Yちゃんは日本に帰ったほうが可能性が広がると思います。彼女も納得し、今はIELTSの勉強を始めました。大学に入るとかではなく、単に力試しですが、いい成績が出せたらうれしいです。