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最悪のホストファミリー

ある留学生からホストファミリーを変えてほしいと言われたのは7月半ばのことでした。学校もファミリーもマンネリ化して来て、冬になり退屈になったので、ここで環境を変えてみるのもいいと私も提案しました。それでも、新しいファミリーが必ずしも今のファミリーよりいい人たちになるという保証はないのでそのことなども留学生本人に話し、今のファミリーともうまくやって行けるように、ホストシスターとこの留学生が通う学校に子供がいない家庭で全く今とは環境が違うところを探しました。

それで見つけたのが、小学生のホームステイに応募してきたあるおばあちゃん。私のところと同じで、10エーカーの土地に2つ家があり、大きな家には娘さん夫婦と小学生以下の子供が3人、離れには半年前にご主人を亡くされたおばあちゃんが一人で暮らされ、その横に、おばあちゃんのところと廊下でつながった部屋があるのです。トイレやシャワー、洗濯機などはおばあちゃんと共同ですが、それ以外は冷蔵庫も電子レンジもすべて備わっている部屋です。

小学生には適していない環境でしたので断ったのですが、ある程度英語でのコミニケーションができるようになって、友達もできてきて独立心が芽生えてきた留学生にはいい環境かも知れません。

ところが、待てど暮らせど警察からの犯罪レポートが届かず、やっと届いたのが先週の月曜日。娘さん、そのご主人、おばあちゃん、3人とも無犯罪ということで、すぐにメールでこの留学生を受け入れてくれるかを打診しましたが、返事がなかったので火曜日にもメールをし、水曜日におばあちゃんから電話があってOKしてもらいました。

でも、水曜日の午後に、IELTSを受験することになった留学生に申し込み書にサインをしてもらうために会った時に「明日から試験で私は学校に行かなくてもいいのか分からない。いろいろな先生に聞いてみたけどみんな違うことを言う」と言われ、困ったのですが時間はもう5時。学校に電話をしてもだれも出ないので、木曜日に留学生を連れて、IELTS用の写真を撮りながら学校に行って聞いてみることにしました。

そしたら、NCEAの統一試験を受けない留学生は突如、1週間の休みになってしまいました。でも、友達は試験なので遊びに誘うわけにも行かず、ヒマになってしまったので、留学生の両親の友達でもあり、私の友達でもあるYさんに電話をしたら仕事が休みで家にいたので留学生を連れて私も遊びに行くことにしました。それで、週末も停めてもらうことにし、行ってみたらご主人もいたし、ご主人とうちのだんなも仲がいいし、うちは週末子供たちが帰って来なくて二人だけでしたので、留学生を迎えに行くのを兼ねて夕ご飯をそこですることにしました。

なので、今のホストファミリーにホームステイ変更の知らせをしたのは金曜日でした。新しいファミリーとは契約もしていなかったのですが、早く知らせないと来学期から変わることができなくなるのでとにかく早く知らせたつもりでした。

留学生も留学生の親もエージェントである私も了承したことですし、特に問題はないと思ったのですが、日曜日に留学生を車から降ろしたらホストペアレントが出て来て「納得できない」と言うのです。

彼らからすると、私は留学生がホームステイを変えたいと言った時に彼らにも伝えるべきだったと言うのです。でも、紹介しようとしたファミリーに犯罪歴が見つかればもちろんそこに留学生を入れることはできませんし、それからまた警察の証明に2ヶ月もかけて別のファミリーを探すよりは今のファミリーにいてもいいということで、何も決まっていないうちに知らせることはできません。何よりも、2ヶ月も前に知らせたらそれから毎日のように「いつ移るんだ」「まだ移らないのか」と質問攻めにされたりしたら留学生もかわいそうなので、ほぼ決まってから最低2週間前にホームステイ先に知らせることになっています。

そのうち学校から連絡があり、火曜日に校長、留学生担当の先生、ESOLの先生とミーティングをし、来学期から学校が私のホームステイビジネスを代わりにすることになると言われました。だから、ホームステイ代として留学生の親からもらったものは全て学校の口座にトランスファーするように言われ、周囲には「あなたから仕事を取り上げるのはズルいのでは?」とか言われたのですが、私もホストファミリーを学校に推薦できますし、そこの警察証明や下見訪問などを全て学校がするというのでまぁ楽でもありますし、とりあえずOKしました。新しいファミリーとの契約も学校がするということで、下見訪問が終わるまでこちらも保留になるとファミリーに伝えておくように言われ、その通りにしました。

翌日はそのことを留学生に伝えなければなりませんでしたので、待ち合わせをし、話をしているうちに何となく日本食でも食べに行くかとなり、一緒に近くの町まで行きました。特にそのことに問題は感じていませんでした。

ホストマザーは私のすることが全て気に入らなくなっていたんでしょうね。バス停で待ち伏せして話し合うのは汚い、木曜日も金曜日も迎えに来たのに家まで来なかったのは私を避けたからだろう(普通、留学生がどこかに行きたい時、エージェントは自分で迎えに来たりしませんよ。タクシーを呼んだりバスのチケットを予約したりはしてくれますが。タクシーなんか呼んでいたらそれこそ何を言われたでしょうね?本当は、その家までの道が車1台しか入れない道で、しかもデコボコ。玄関前で車をバックしたら芝生にハマってしまい、完璧な芝生に穴を開けてしまったことがあって、留学生に聞いたら郵便受けの前で待っていてもいいというのでそうしたまででした。)私たちもその町に行ったのに、あなたも行くなんて(その町に行くからと彼女が留学生を誘ったそうです。私はそんなことは知らず、留学生もただ私と話すだけだと思っていたのでお財布も持っていませんでした)。

ところが、木曜日の夜、滅多に連絡して来なかった留学生から携帯にメッセージが3通入りました。ホストマザーが感情的になり、半分泣きながら「私たちはあなたがなぜここを出るのか知る必要がある」「新しいファミリーはだれ?どこに住んでいる?名前は?」と次々に聞かれたと言うのです。留学生担当の先生に電話をしたら「あなたはどうしたい?」と聞かれたので「留学生をあの家から連れ出したい」と言いました。それで、留学生担当の先生が校長と連絡してくれ、「校長が許可したので連れ出しても結構です。新しいファミリーに関する情報は今のファミリーに知らせる必要はありません。何か言われたら『校長と話すように』って言ってください」とのこと。

私も何となく一人で行くのがコワくて友人Kさんに一緒に来てもらおうと思ったのですが、運悪くKさんのコンピュータが壊れて修理に持って行くということで、恐る恐る一人で行きました。

留学生からの連絡によると、「ホストマザーが家にいる」「だれかと自分(留学生)について話をしている。先生かな?」とのことでしたが、そのすぐ後に校長から電話が入り、少し話をしてから迎えに行きました。

ホストマザーが一人でいたのですが、簡単にあいさつをして留学生の部屋に行き、荷物を出し始めたら彼女がやってきて。。。「あなたは私たちをバカにしている。私はこの子のためにテニスやスキーやウェイクボードなどをさせたのに感謝の気持ちもない。これだけよくしたのにあなたは私たちをこんな風に扱うのね」と私に半べそ&真っ赤な顔で訴え、「あんた、こっちに来なさい!」と留学生を呼び、同じことを繰り返して責めるのです。私が反論すれば手で止め、「聞きたくない」と言い、自分が言いたいことだけを言って中に入ってしまいました。

何なんでしょうね。ニュージーランド人ってこういう人が結構いるんです。「話し合い」って言っておきながら、実際には自分が言いたいことだけを言って相手の話は聞かないというパターンです。私は自分が言いたいことも言えて相手の言いたいこともきちんと理解できるという点でメールの方がいいのですが、こういう人たちは必ず電話または会って話がしたいと言います。いかに自分が傷ついたかを話すんですけど、留学生だって同じぐらい傷ついているんです。

「何の連絡もなく勝手に今連れ出すの?電話ぐらいできたでしょう?」です。だったら、自分だって、新しいファミリーについて留学生に聞くより私に電話して聞けばよかったでしょう?「今から留学生を連れ出します」なんて前もって連絡したら、私が到着するまでの間、留学生をまた質問攻めにして泣かせたんでしょうが。。。

留学生の話だと、前日、夕食の後、バーンとテーブルを叩いてホストマザーが立ち上がり、鬼のような顔をして早口で次から次へと質問してきたそうです。一つの質問に答えるチャンスもないうちに次の質問をされ、新しいホストファミリーの名前も分からない(これは本当のことで、まだ契約もしていないので留学生には何も伝えてありませんでした)と言ったら「あなたは名前も分からない人のところに行くのか」と言われたそうです。それで話をしたくなくなり部屋に閉じこもったとのことでした。

ホストマザーは「話をしようとしたのに話もせずに部屋に閉じこもった。失礼だ」と言うのですが、私も留学経験があり、この時の留学生が置かれた状況がどのようなものか、目に浮かぶように分かります。反論しようとしても聞いてくれませんし、そのまま出て来ました。

これが逆の立場だったら彼女はどう思うんでしょうね。自分の娘が日本語がまともでない状態で日本に行って、ホームステイを変えたいと言い、その理由に親もエージェントも問題を感じないのにホストマザーが感情的になって泣きながら娘を責めたら。やはりそこから連れ出してほしいと思うと思うんですね。

学校の先生方は「あの人たちは留学生を自分の子供のようにかわいがってくれた。いい人たちだ」と言います。私も留学生もそれを否定しているのではないのです。ただ、何事も考えようによっては長所になり短所になるもので、「かわいがってくれる」は「わずらわしい」、「面倒を見てくれない」は「自由にできる」ということで、本人がどう取るかなんですね。私に携帯でメールをすると「だれに連絡してるの?見せて」と言われ、プライバシーもなくなって来てはいました。

このファミリーは留学生を受け入れるのが初めてでしたのでエージェントと仕事をするのも初めてでした。私は最初の1ヶ月は毎週留学生とホストマザーのサポートに行っていましたので、1ヶ月連絡をしなかったら「あなたは仕事をしていない!」と言われました。留学生の英語がまともでない時は私がいないと困ったので重宝してくれましたが、留学生の英語ができるようになり、会話に支障がなくなると私が邪魔になるわけです。留学生も最初はファミリーが何を言っているのか分からなかったので何も気にしませんでしたが、ファミリーの言っていることが分かるようになって私の悪口を言っていたりすると信用できなくなって来ます。

50歳も半ばの大人が17歳の子供を手放したくなくて泣きながら責める。。。大人の私でも怖かったので、留学生はもっと怖かったでしょう。かわいそうに、本当に我慢したのだろうと思いました。

でも、何事もスムーズには行かないものですね。最後の最後にまた芝生にハマってしまいました。携帯から夫に連絡しようと思っても電波が届かないので届くところまで歩いて行って彼に電話をし、来てもらいました。軽トラで来てくれましたが、最初、バックしてコンクリートの上に後輪を乗せればいいかもという彼の意見に「頭いい!」と思ったのですが、ナント、後輪が排水用のマンホールにぴったりはまってしまい、前輪も後輪もその場で回る状態になってしまいました。。。もし、牽引できなかったら軽トラも含めて全部の車がそこから出られなくなってしまうので不安でしたが、何とかロープで牽引成功。脱出に30分もかかってしまいました。これには留学生も大笑いで一気に気分が明るくなりました。

うちでも何も準備していなかったので、昨日のランチボックスは娘が幼稚園の時に使ったバーニー。。。ひらがなで娘の名前が書いてあるしまじろうのシールが貼ってあるものです。中身はおにぎり2個とオレンジで、あとは自分で売店で買ってもらいました。そんな時に限って次女が「友達のエラが泊まりに来たいって」と言うので、シーツを買ったりイスを買ったり。今、ラウンジに2人、子供部屋に2人、ティーンエージャーの女の子が4人もいます。ゆうべはとても賑やかでした。

この留学生には残りの数ヶ月、楽しく過ごして帰国してほしいです。