Aさん親子が帰国されてから、再び、翻訳の日々に戻りましたが、先週、信じられない事件が起きました。
ずっと忙しかったので、金曜日は友人Yさんのところに遊びに行く予定にし、週末は子供たちが友達を連れて来るので翻訳の仕事は受けないことに決めたのですが、そういう時に限って仕事が入るものです。金曜日納期の緊急のものが1件、日曜日までのものが1件、月曜日までのが2件。。。悩んだのですが、全部断りました。でも、その中の1件は翻訳会社から、急いでないので納期を延ばすことができるから何とかと頼まれ、それならとOKしました。新規に契約した翻訳会社で、単価もいいところでした。
いつものように、校正に回す前にスペルチェックをし、アメリカ人校正者に初回と最終の2回の校正をしてもらい、それをプリントアウトしてニュージーランド人の夫にチェックしてもらって、さらに納品する前にスペルチェックをして納品しました。ところが、数日後に、スペルミスや表現の不統一などかなりの問題が見られたから修正してほしいとメールがありました。
そんなに間違ったのだろうかと不審に思ったのですが、メールでお叱りを受けましたし、早速、翻訳会社(もしかしたらクライアント?)からのコメントを英訳して校正者に送りました。そしたら、「自分たちが納品した文章ではない。だれかが単語を削除したり表現を変更したために発生したミスだ」とのこと。
納品したファイルをチェックしてみると、なるほど、ほとんどのミスは私たちが犯したものではありませんでした。
例えば、"This specifications document was created..."という文章から"document"だけを削除してしまったので、"This specifications was created..."という文章になってしまい、"This"は"These"ではないか、"was"は"were"ではないかという問題が全体的に発生してしまったのです。また、私たちが「表示方法 一部、追記変更」という箇所を"Updated Product Description"としたところ、それを"Product Description was partly changed and added"と直してしまい、校正者が"changed and added"はおかしいと指摘。
ちなみに、能動態でも受動態でも表現が統一されていればどちらでもOKなのですが、この場合は文法的におかしくなってしまっています。なぜだか分かりますか?それは、「追記変更された」のが「表示方法」ではないからです。つまり、「変更された」のは「表示方法」ですが、「追加された」のは「内容の一部」であり、「表示方法」自体が追記されたのではないためです。
「AにBを追加する」という文章を、受動態にすると「Aが(Bに)追加される」ではなく、「追加される」のはBです。つまり、原文にない「内容の一部」のような表現を主語として追加しなければならず、上の文章を受動態にするのなら"Product Description was changed in part and additions were made"などのようにしなければならなくなります。私は、「何を」追加したのかが原文からは不明でしたので、"updated"とし、校正者もこちらの方がいいとしました。
他人の文章を読んで校正するというのは大変な仕事だと思いますし、頼まれたら意地でもどこかを変更しなければならないものと思うのかも知れません。でも、訳文の質を上げる校正ならともかく、後からクレームのオンパレードになるような校正をするというのはどうかと思います。
担当者からは謝罪のメールをもらいましたが、どうも気分が悪いです。。。(特に、スペルに関しては、ESOL教師という職業柄、生徒たちに口うるさく注意していましたから。)